伊東市に移住して2年経った感想|暮らして分かった5つの変化

移住

伊東市へ移住して2年が経った。旅行で来ていた頃と、実際に古い家を直しながら暮らした2年間では、伊東の見え方がかなり違う。

この記事では移住を決めた経緯や100万円住宅の購入費用を繰り返すのではなく、2年間暮らしたから分かった変化に絞って記録する。観察したのは、季節、家の修繕、移動、仕事と生活費、地域との距離感の五つである。

観察1|夏より冬の方が家の性能差を感じる

伊東の夏は、東京で暮らしていた頃と比べると比較的過ごしやすく感じる日がある。海に近いため風が通ることもあり、家の窓を開けて過ごせる時間もある。ただし、伊東市内でも標高、日当たり、風向きは違うため、「伊豆ならどこでも涼しい」とはいえない。

予想との差が大きかったのは冬だった。伊豆には温暖な印象があったが、築37〜38年の家は断熱が弱く、床や窓から冷気を感じる。外の気温だけでなく、隙間、日照時間、窓の数が室温を左右する。

冬を一度経験すると、物件内覧で見るべき場所も変わった。景色や間取りだけでなく、午後に日が入るか、窓が一枚ガラスか、床下から冷気が来ないかを確認したくなる。伊東の古い家では、暖房器具を選ぶ前に、熱が逃げる場所を調べる方が先だと感じている。

観察2|修繕は工事ではなく日常になった

移住直後は使えるトイレがなく、災害用トイレとペットシーツで数週間を過ごした。その後、大工工事に約50万円をかけ、自分でも屋根、外壁、ベランダ、トイレ、エアコンなどに手を入れた。

2年経って分かったのは、古い家の修繕には明確な終点がないことだ。一か所を直すと、次に気になる場所が見つかる。雨の前には屋根や雨どいが気になり、冬には隙間が気になる。修繕は一度の大工事ではなく、季節ごとに優先順位を変える日常になった。

DIYでは煙突用の穴の位置を間違えた。穴を開けてからでは簡単に戻せない。この失敗以降、構造や防水に関係する作業では、先に寸法を取り、室内側と屋外側の両方から位置を確認するようになった。

自分で直す範囲も変わった。塗装や簡単な交換はDIYで進めるが、構造、水漏れ、電気など、失敗した場合の損害が大きい部分は業者へ相談する。2年間で得たのは技術だけではなく、自分でやらない判断だった。

観察3|距離より坂道と道路幅が生活を左右する

伊東の物件情報を見るとき、駅やスーパーまで何キロかを確認する。しかし実際の負担は距離だけでは決まらない。急な坂、道路幅、渋滞しやすい時間、車を止められる場所によって、同じ距離でも移動のしやすさは変わる。

DIY材料を運ぶと、この違いがよく分かる。木材や塗料を買いに行き、車から家まで運ぶ。工事を業者へ依頼する場合も、車両が入れるか、資材をどこへ置けるかで手間が変わる。安い物件ほど山側や細い道の先にあることがあり、道路条件は修繕費にもつながる。

移住前なら「車で十数分」を短いと考えていた。今は、雨の日や観光シーズンにも同じ時間で移動できるか、年齢を重ねても坂を使えるかまで考える。生活圏を調べるときは、地図上の直線距離より実際の経路を走る方が役に立つ。

観察4|固定費は下がったが、支出は不規則になった

固定資産税は年間1万8,000円だった。東京で家賃を払っていた頃と比べれば、毎月の住居費に対する緊張は小さくなった。収入が少ない月でも、すぐに住む場所を失う不安がないことは大きい。

ただし、住宅費が消えたわけではない。大工工事、材料、工具、設備交換などの支出は不規則に発生する。賃貸では家賃として毎月支払っていた費用が、持ち家では自分で時期を判断する修繕費に変わった。

この違いに対応するため、使えるお金をすべて日常生活へ回さず、家のための予備費を残す必要がある。固定費が低いから働かなくてもよいのではなく、収入が少ない時期にも修繕を先送りしすぎない仕組みが必要だと分かった。

観察5|地域との距離は自分で調整する

移住前は、地域へ溶け込めるかを大きな問題として考えていた。2年間暮らした現在は、全員と親しくなる必要はなく、生活に必要な関係を少しずつ作ればよいと考えている。

ごみ出しや道路、近隣への音など、地域のルールを知らなければ困る場面はある。一方で、観光地や別荘地を含む伊東には、昔から住む人だけでなく移住者や一時滞在者もいる。場所によって人との距離感は異なる。

家の修繕では、近くで相談できる職人や店の存在が重要になった。不動産を買うときは建物だけを見るが、暮らし始めると、困ったときに誰へ聞けるかが生活の安定に影響する。研究所で職人ネットワークを扱いたい理由もここにある。

2年間の研究結果

伊東移住によって毎月の住居費は小さくなった。その代わり、修繕の判断、資材の運搬、業者探し、季節への対応が自分の仕事になった。自由が増えたというより、家に関して自分で決める範囲が増えた、という表現が近い。

良かった点は、海が見える環境、比較的過ごしやすい夏、家賃の支払日から離れたこと。負担だった点は、古い家の寒さ、修繕の継続、坂道や道路条件を含む移動である。

2年時点の結論は、「伊東なら低コストで暮らせる」ではない。安い家を選び、修繕を自分で管理できた場合に、住居費を下げられる可能性がある、である。次の観察課題は、今後発生する修繕費を年単位で記録し、賃貸時代の住居費と比較することにする。

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