伊豆半島で住む場所を探す時、「伊東がいいか、下田がいいか、西伊豆がいいか」という名前から考えたくなると思います。
僕も移住前に、西伊豆、下田、南伊豆、伊東などを候補にしていました。西伊豆や下田、南伊豆を悪い場所、住みにくい場所だと思っていたわけではありません。どこもすごく良い場所で、住みやすそうだと感じていました。
それでも最後に考えたのは、景色や家の安さだけではありません。今の仕事がなくなったり、辞めたりした時に、次の仕事をどこまで探せるかでした。
伊豆で住む街を選ぶなら、市町村の名前だけで決めるより、自分の住所から平日の生活をどう回すかを考えた方がいいと思います。
僕が見ていたのは、その街だけではなく生活圏だった
伊東を選んだ理由の一つは、仕事を探す範囲を伊東市内だけに閉じなくてよさそうだと考えたからです。
当時は、伊東で条件に合う仕事がなくなったら熱海まで探す。さらに必要なら、沼津方面まで範囲を広げることも想定していました。
沼津へ実際に通勤したわけではありません。これは当時の僕が持っていた逃げ道の一つです。実際に毎日通えるかは、住む場所、道路、勤務時間によって変わります。
ハローワークの管轄も、生活圏を考える材料にはなります。ただし、行政上の管轄と、毎日通える距離は同じではありません。2026年6月の有効求人倍率は下田管轄1.62、沼津管轄1.08、三島管轄0.89でしたが、倍率が高いから仕事の選択肢が多い、とは言えません。管轄の広さも、求人の絶対数も、求職者数も違うからです。
ここで見たいのは、「この町に仕事があるか」だけではありません。今の仕事が合わなかった時に、どこまで探す範囲を広げられるかです。
仕事の種類も、求人倍率だけでは分かりません。今回、伊東・熱海側、下田・賀茂側、沼津・三島側を同じ職種で比べようとしましたが、公開検索の単位や表示条件がそろわず、「北側は仕事の種類が多い」「下田側は観光の仕事ばかり」とは言えませんでした。
物件を比べる時は、自分が選べる事務、販売、宿泊・飲食、介護、清掃、警備、設備・管理、製造などを、同じ日、同じ雇用条件で検索してみる方がいいと思います。大事なのは求人の順位ではなく、今の仕事が合わなかった時に、自分が選べる次の仕事が残るかです。
伊東で条件に合う仕事がなくなり、熱海まで通った
実際に伊東で自分の条件に合う仕事がなくなった時、僕は熱海方面まで仕事の範囲を広げました。
当時の僕は、高収入やキャリアアップより、ストレスのかからない仕事を主に探していました。伊東から熱海方面へは車で通勤し、通常は片道約40分でした。
伊東から熱海へ向かう道路は、実質的に選択肢が限られます。普段から毎日耐えられないほど渋滞していたという感覚ではありませんが、観光客による渋滞は時々ありました。ゴールデンウィークや長期連休はかなり混みました。
車で片道約40分で通えても、公共交通で同じように通えるとは限りません。僕の家から伊東駅までバスで約30分、伊東から熱海まで約30分、さらに熱海の山の上にある職場まで約30分を見込みました。乗り換えや待ち時間も考えると、公共交通なら片道1時間半から2時間くらいになる可能性がある、と当時は感じていました。これは時刻表で計算した結論ではなく、僕自身の通勤を考えた時の感覚です。
伊東駅から熱海駅まではJR伊東線でつながっています。一方で、自宅から駅までの坂やバスの本数、職場の場所まで含めると、同じ鉄道沿線でも通いやすさは変わります。
買い物は、スーパーが一店あるかだけでは決めなかった
移住先を考える時、食品を買える店が一店あるかだけでは足りないと思っていました。
日用品や服まで含めて、わざわざ遠方へ買い出しに行かずに済むかも気にしていました。ドン・キホーテ、業務系スーパー、イオン系スーパー、ユニクロ、しまむらのような店を、必要な時に使える範囲にあるかという感覚です。
今の家からは、マックスバリュ伊東広野店まで車で約10分、MEGAドン・キホーテ伊東店まで車で約15分です。夜勤などで生活時間がずれていた時には、24時間営業のマックスバリュ伊東広野店が助かりました。
ただし、同じ場所でも車がなければ意味は変わります。僕の家からスーパーへ歩くと40〜50分ほどかかり、帰りは米や飲み物、日用品を持って坂を上ることになります。
だから「町内にスーパーがあるか」より、物件から普段使う店まで何分か、車が使えない時に次の選択肢があるかを見た方がいいと思います。
下田、南伊豆、西伊豆を一つの言葉で決めない
下田や南伊豆、西伊豆を「不便」と一括りにするつもりはありません。自分が何を優先するかで、見え方は変わるからです。
下田は、伊豆急行の終点があり、下田メディカルセンターもあるため、南伊豆の周辺町と合わせて生活圏として見る意味があります。南伊豆町内に鉄道はありませんが、町内だけで考えず、下田まで含めて日常の買い物、医療、仕事をどう回すかを見る方が現実に近いと思います。
東伊豆や河津は伊豆急行で伊東側と下田側につながっています。どちら側を普段使うかは、町名ではなく、住む住所と車・鉄道の使い方で変わります。
西伊豆も同じではありません。土肥、西伊豆町中心部、堂ヶ島、松崎町では、北側の都市までの距離と道路条件が違います。
アクセス案内の目安では、沼津IC・長泉沼津ICから土肥港周辺は約60分、西伊豆町までは約90分、松崎町までは約100〜110分です。ただし、これはインターチェンジから観光地・町への通常時の案内で、沼津や三島の職場までの平日朝の通勤時間ではありません。堂ヶ島周辺の平日朝の所要時間も、今回の調査だけでは確定できませんでした。
西海岸には鉄道がありません。西伊豆町へのバスは三島・沼津から約2時間、松崎町は三島から修善寺経由で約1時間40分という案内があります。国道136号など道路への依存が大きく、雨や通行規制もその日の条件として確認する必要があります。
だから、土肥なら北側を仕事の候補として具体的に調べる余地があっても、西伊豆町中心部、堂ヶ島、松崎町へ進むほど、毎日使う前提の負担は別に見た方がいいと思います。これは「西伊豆から沼津へ通える」「通えない」と決める話ではありません。候補物件の住所、勤務時間、雨の日、観光シーズンを決めてから確かめる話です。
車が使えない時まで含めて物件を見る
僕は伊東の山の上に住んでいて、車があれば買い物は生活圏内で済ませやすいです。一方で車がなければ、徒歩40〜50分と坂道の負担が残ります。
今は車で問題なくても、故障した時、体調が悪い時、将来運転を続けにくくなった時にどう動くかは別の話です。鉄道がある場所とない場所でも、選択肢は変わります。
地図で「車で十数分」と出ていても、雨の日、観光シーズン、荷物を持った帰り道まで同じとは限りません。僕自身、伊東で暮らしてから、物件を見る前に実際の経路を走った方が役に立つと思うようになりました。
まとめ|一番住みやすい街ではなく、自分の生活圏を選ぶ
僕が伊東を選んだのは、西伊豆、下田、南伊豆より上だと思ったからではありません。
仕事がなくなった後に探す範囲、車で通える買い物先、熱海方面まで仕事を広げられる可能性を、自分の生活として考えた結果です。
伊豆半島で住む街を選ぶなら、物件を見る前に次を確認した方がいいと思います。
- 平日に使う買い物先まで、実際に何分かかるか
- 今の仕事だけでなく、辞めた後はどこまで探せるか
- 大きな病気や救急の時に、どこへ行くか
- 車が使えない時に、駅や店へどう動くか
- 雨、観光シーズン、夜の道でも同じように動けるか
一番住みやすい街を決めるより、自分が毎日回せる生活圏を決める。その後で物件を見る方が、僕には自然だと思います。
外部情報の出典
- 静岡労働局「静岡県内の最近の雇用情勢」:2026年6月のハローワーク沼津・三島・下田の有効求人倍率。管轄全体の数字であり、自治体単位の求人件数ではありません。
- 静岡労働局「県下ハローワークの管轄地域と所在地一覧」:下田は下田市と賀茂郡、三島は熱海市・伊豆市・伊豆の国市・函南町などを管轄します。
- 伊豆急行「路線案内」、下田メディカルセンター、南伊豆町移住案内:鉄道と南伊豆地域の医療・交通の確認。
- マックスバリュ伊東広野店、MEGAドン・キホーテ伊東店:伊東の店舗情報を2026-08-13に確認。
- 西伊豆町アクセス案内、松崎町アクセス案内、国土交通省の土肥アクセス資料、静岡県道路通行規制情報:西伊豆側の通常時アクセスと当日の規制確認の入口。

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