安い家を見つけると、「この金額なら自分にも買える」と気持ちが動く。僕も100万円という価格に強くひかれた一人だ。買ったのは新築のローコスト住宅ではなく、安い中古住宅だ。不動産の知識で確認したつもりでも、購入後には想像していなかった手間があった。安い家を否定するつもりはないが、価格だけでは見えない現実はある。
買う前の注意点として、まず確認したいのは次の3点である。
- トイレ・水道・排水・電気が、実際に使えるか。
- 購入代金のほかに、修繕費や材料・工具代を残せるか。
- 工事中の暮らし方と、自分で直すための時間を用意できるか。
安い理由は必ずある
売主が早く手放したい、建物が古い、立地が不便、修繕が必要、再販売しにくい。安い理由は物件ごとに違う。大切なのは「安いから得」ではなく、「なぜこの価格なのか」を自分の言葉で説明できることだ。
理由が分からないまま買うと、購入後に初めて代金の続きを払うことになる。
建物があるだけでは住めない
僕が買った家には、当初使えるトイレがなかった。数週間は災害用トイレと犬用のペットシーツで生活した。壁が汚い程度なら後回しにできるが、トイレ、水道、排水、電気が使えないと日常生活は始まらない。
内見では設備の有無だけでなく、実際に使えるのかまで確認した方がいい。家についてくる設備の有無や状態は、一覧で範囲を確かめる案内がある(大阪府・物件調査のポイント)。トイレや水道が動くかは一覧とは別に、売主や仲介へ確認できるか相談した方がいい。
書類や不動産の知識だけでは分からないこと
不動産の取引の知識は、権利関係、接道、契約条件を確認するうえで役に立った。しかし、屋根や基礎、木材の傷み、給排水の状態を正確に判断する仕事ではない。
不動産取引の知識と建物を診断する知識は別物だ。建物の方には、講習を修了した建築士が行う建物状況調査がある。調べるのは構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分で、方法は目視、計測、壊さない調べ方だ。この範囲の調査は、欠陥が一つもないことや、設備が使えることを保証しない。買主から頼むときは売主の同意が必要で、あっせんは仲介に相談できる(国土交通省・建物状況調査活用の手引き)。大阪府の案内と、この手引きは、2026年10月22日に確認した。
古い家ほど、大工や建築士などに見てもらう価値がある。設備が動くかの確認と、この調査は別だ。
修繕には時間も必要
大工工事の木工事部分は約50万円という記録だが、自分で行ったDIYにも材料費、工具代、作業時間がかかった。作業そのものより、調査、買い出し、片付けに時間を取られることも多い。
休日をDIYに使うことが楽しい人と、負担に感じる人では、同じ物件の価値が変わる。
売るときのことも考える
安く買えた物件が、同じように簡単に売れるとは限らない。道路、傾斜、建物状態、管理費などが理由で買い手が見つかりにくい場合もある。
購入前には、住めなくなったときに維持できるか、売れなくても持ち続けられるかを考えておきたい。
購入前に予備費と時間を用意する
安い家を買うなら、購入代金を使い切らない方がいい。僕の場合、購入時の関連費用は約150万円、その後の大工工事の木工事部分は約50万円だった。さらに材料や工具を買う費用もある。最初から正確な修繕総額を出すのは難しいため、予定外の支出を受け止める余裕が必要だった。
| 区分 | 僕の場合の金額 | 含む範囲 |
|---|---|---|
| 物件の購入代金 | 100万円 | 購入価格。下の購入関連費用に含まれる |
| 購入時の関連費用 | 約150万円(一部は概算) | 購入代金100万円を含む。100万円に150万円を足した額ではない |
| その後の木工事部分 | 約50万円 | 前の節と同じ木工事部分。足場や塗装を含む外部工事全体ではない |
| DIYの材料・工具 | 記載なし | 材料費、工具代、作業時間がかかった |
この表は全支出の集計ではない。
お金だけでなく、工事が終わるまでの生活も考えておきたい。トイレが使えない、水が止まる、作業中の部屋を使えない。そうした期間をどこで、どう過ごすかは見積書には出てこない。
僕は安い家を買うこと自体には肯定的だ。ただし、安さを理由に急いで決めるより、最低限使える設備、専門家に任せる工事、入居後に残すお金を先に決めておく方がいい。買えるかどうかと、無理なく持てるかどうかは別の問題だからだ。
内見で生活を想像する
内見では、部屋の広さや景色だけでなく、朝起きてから寝るまでの動きを考えたい。水は出るか、トイレは使えるか、風呂をどうするか、洗濯物をどこに干すか。毎日使う場所に問題があると、小さな不便でも積み重なる。
さらに、雨の日や冬の日も想像する。晴れた日の海は魅力的でも、風が強い日や寒い日に同じ家で過ごせるかは別だ。安い家ほど、良いところを探すだけでなく、困る場面を具体的に考える必要がある。
購入を決める前に、直す場所を紙に書き、生活に必須、早めに必要、後回しの三段階に分けるだけでも判断しやすくなる。すべてを一度に直す予算ではなく、最初の一年を乗り切る予算を考える方が現実的だ。
よくある質問
100万円あれば暮らし始められるか
100万円は、僕がひかれた購入代金で、それだけで暮らし始められるとは限らない。購入代金以外に、設備が使えるかと費用を確かめる。
不動産の知識や建物状況調査で全部分かるか
不動産の取引の知識で役立ったのは、権利関係、接道、契約条件の確認だ。建物状況調査は、構造と雨水の浸入を防ぐ部分を見るもので、設備が使えることまで一括では分からない。
予備費はいくら要るか
家によって違うので、いくら必要かを一律には決められない。購入代金を使い切らず、修繕と、直している間の暮らしに残す分を先に考える。
まとめ
安い家は、購入価格を抑えられる代わりに、修繕、管理、時間、将来の売却といった負担を自分で引き受ける家でもある。僕は買ったことを後悔していないが、修繕は予想より大変だった。購入前には「いくらで買えるか」だけでなく、「住める状態まで何が必要か」を確認することが大切だ。
関連記事
- 購入価格の外に必要な額を確認する:100万円の家に総額150万円かかった費用を検証
- 買った後も含めた実質コストを確認する:100万円の家を約1年10か月持った実質コストを公開
- 自分で直す範囲と業者に頼む範囲を確認する:DIYで直せるものと業者に頼むべきもの
- 次に、現地で見る場所を確認する:安い家を買う前に見ておきたかった場所
